少しの文学 朝の違和感
朝の違和感。
私は昨日保護された。
田舎の外れで牛小屋に隠れる様に住んでいた。
急に人が来て
お嬢ちゃん、お母さんは?なんでここにいるの?
たくさんんのしつもんをされた。
そしてわたしは昨日、街の施設に入れられた。
朝、ふかふかの塊の上で目が覚める。とても静かだ。
静かすぎて違和感を覚える。
鳥も鳴いてない。風の音も聞こえない。
この部屋には生きた声がない。
窓からは道路、家、ビル、スーパー。車、車、車。
そして窓にはカーテン。
内と外。
人間とそうでないもの。
いつから区別されたのだろう。
私は朝起きた時に聞こえる声たちを思い出す。
鳥たちの鳴き声、風で揺れる木の葉っぱの声。
カラスの大きな声でのおしゃべり。
怖がりな犬の鳴き声。
ここはとても静かで寂しい。
コンクリートの壁をさわり、冷たさを感じる。
ここはやっぱり、私の居場所ではないかも知れない。
助けられたのか、さらわれたのか。
コンコン、扉の向こうから誰かがノックする。
入りますね。そういい、扉は開けられた。
そこには誰かがさっきまで寝てただろう
暖かさの残ったベットと開いた扉だけがあった。