少しの文学 夜と闇と月
もう、あと3日ほどで満月だろうか。
月は日に日に大きくなっている。
私はいつもここで月を見上げる。
ねぇ、寝るのって怖くない?
少女は私の隣に座り、不安そうに聞いてきた。
怖くないさ。だって素敵な夢を見れるだろう?
それに、嫌なことや悲しいことも寝たら忘れてる。
あなたは寝るのが怖いの?
・・・私は、怖くてとても不安。
このまま目を瞑ってしまったら、まぶたがボンドみたいにくっついて、もう開くことができなんじゃないかって思うの。
それに、気づかないうちにいつの間にか眠っている。
おやすみってまだ言えてないのに。
少女の顔が月明かりに淡く照らされ、僕の目に映る。
とても美しかった。淡いブルーのビー玉みたいな目。
吸い込まれるかと思った。
寝なくても生きていけたらいいのにね。
でも、私はできないみたい。
明日も会えるかな、会えるといいな。
おやすみなさい。
そう私に言い残し、少女は眠りに行った。
私はまた一人、月を見上げる。